Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
見えないような所から観戦したのは、試合に臨む遼太郎のあの戦う顔を、再び見るのが怖かったからだ。
いつも戦闘的な顔つきをしている二俣ならば、試合中にあんな顔をしても何の違和感もないが、遼太郎は普段は物静かで優しげだ。
そんな遼太郎の試合中のあの顔を見たら動揺して、自分の心なのに制御ができなくなる――。
前の試合の直後は、その平常心ではない状態だったから、そっけない態度になってしまったことを、みのり自身よく解っていた。
…でも、それを遼太郎の前では言えない。みのりは必死で他の理由を探した。
ドアを出たところでみのりが足を止めたので、付いて来ていた二俣と遼太郎は、それぞれ戸口にもたれ掛った。
「一試合終わるごとに、君たちのプレーを見る機会が一つ減っていくんだ……と思って。ちょっと寂しくなっちゃってたの……。」
言い繕いではなく、それも、みのりの本心だった。
本当に寂しそうにみのりがそう言うと、二人はみのりの心が伝染し再び黙り込んだ。
「……大丈夫、みのりちゃん!花園に連れて行ってやるからよ。まだまだ、試合はあるぜ!なっ!?遼ちゃん!」