Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「教員の採用試験の二次試験で個人面接があるんだけど。私は、何度も足元すくわれちゃったからね。」
みのりが自虐的に苦笑いをすると、遼太郎は何も言葉が返せずに、みのりを見つめた。
「といっても、狩野くんはまだ部活をしてるし、時間も気持ちも余裕がないだろうから、朝のこの時間を、入試の準備に当ててもいいよ。」
思ってもみなかったみのりの提案に、遼太郎にはある不安がよぎった。
「……それは、先生が面接の指導をしてくれるということですか?」
遼太郎にとっては、それが一番重要なポイントだった。
「そうねー。私、進路指導詳しくないし、私じゃない方がいいなら、他の先生に頼んであげようか?」
確認するように、みのりが遼太郎を覗き込むと、遼太郎は焦った。
「いえ、先生がいいです!」
と、咄嗟に答える。
余りにもキッパリ遼太郎が断言するので、みのりは何故遼太郎がそう言うのかさえ、疑問に思わなかった。
「そう。じゃ、明日から面接指導に切り替える?」
そう言われて、遼太郎は少し考えた。
「あの、先生。面接指導は全県模試が終わってからにしてもらえませんか?それまでは、やっぱり日本史を見てもらいたいんですけど…。」