Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 遼太郎のみのりへの想いは、「好きだ」という限界を超えた。
 他の人はこの想いを、「愛している」と言うのかもしれない。しかし、この息もできないような感覚は、そんな既存の言葉で説明できるようなものではなかった。


 数ヵ月前までは、人に恋した経験もなかった遼太郎に、この感情は重すぎた。

 余りにも深く大きな想いに、心が圧し負けそうになる。こんなにも胸が疼き、みのりに対しての想いが大きく膨らんでいくことに、怖ささえ感じる。


 みのりにとってあの抱擁は、特別な行為ではないのかもしれない。もし、二俣が同じように傷を負い、焦燥しているようなことがあったとしても、きっとみのりは同じことをするだろう。
 遼太郎に向けられる大きな愛は、他の生徒も包括しているに違いない。

 でも、遼太郎はそれでもいいと思った。むしろ、そんなみのりだからこそ、好きになったのだと思った。
 たとえ、みのりが自分一人を見てくれなくても、遼太郎の想いは不変的なものとなった。



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