Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
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全県模試が目前に迫り、3年1組の授業は模試の演習に専念していた。
徐々に推薦組の進路も決まりつつあり、授業にはあまり身が入らないかと思われたが、思いのほか生徒たちは真面目に取り組んでくれている。
みのりの熱意が伝わっているのか、やはり情けない結果になるのが嫌なのかどうかは分からないけれども…。
国立コースの生徒たちがこれからラストスパートをかけるこの時期、私立コースの生徒たちの大部分にとっては、最後の模試らしい模試だ。
模試が終わったら、点数に縛られない授業をしよう。歴史の面白さを発見できる内容にしようと、みのりは心に決めていた。
しかし、12月の上旬には後期の中間考査がある。だから、考査ができる内容で興味を持てるような授業……。難しいけれども、これこそみのりの腕の見せどころだった。
遼太郎との個別指導も日本史を指導するのは数日を残すところとなり、毎朝の渡り廊下もひんやりと冷え込んできた。
「試合で打ったところは痛くない?すごくたくさん出血してたよね?」
週明けの月曜日の朝、みのりはあいさつの後、いきなりこの話題を持ち出した。