Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
遼太郎はみのりのその仕草を見て、何かに堪えるように唇を噛んだ。
「あのサインプレーの司令を出すのが、狩野くんなのね?だから、早く試合に戻らないといけなかったのよね。」
「司令って…まあ、そうです。ふっくんとのクロスは、ふっくんが言い出したんですけど…。」
遼太郎は照れ臭そうに、肩をすくめた。
「お母さんが言ってたけど、狩野くんって高校に入ってからラグビー三昧だったんだって?」
先ほどの緊張が大分解けてきたみのりが、長机に頬杖をつく。
「えっ!?先生、母さんと何話したんですか?」
かたや遼太郎は、目を剥いて焦りを増した。
「いろいろ聞いちゃったけど、教えない…!」
みのりは、いたずらっぽい含みのある笑顔を、遼太郎に向けた。
思ってもみなかったみのりのこの表情に魅せられて、遼太郎はグッと言葉を詰まらせ、話の内容までも忘れてしまう。
「でも、狩野くんがそこまでラグビーに夢中になるのも、よく解る。ラグビーって、運動能力は勿論だけど精神性も高いと言うか、人を魅了する力があるし、本当に素敵なスポーツだと思うよ。狩野くんがそれを体現して、私に教えてくれたんだよね。」