Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「あちゃー、そうだった…。忘れてたー。」
「幟旗と腕章、ここにあるから。早く行って!」
「はい!すみませーん。」
学年主任から急かされて、みのりは遼太郎との挨拶もままならないうちに、駆けていった。
みのりが去った後には、みのりが使っていた変わった色の3色ボールペンと、先ほど返したはずのハンカチが残されていた。
「忘れてるし…。」
遼太郎はため息を吐き微笑んで、ハンカチとボールペンを自分のポケットに仕舞った。
三回目、最後の全県模試も無事に終わり、いつもドキドキする採点もようやく終わった。
毎日課題が功を奏しているのか、はたまた直前の演習がよかったのか、3年1組の成績は思いのほか良いもので、みのりも少し驚いた。6月の1回目の全県模試の時には、反省会でどう釈明しようかと頭を悩ませていたのがウソのようだ。
担任の澄子曰く、
「進路が決まった子も多いけど、逆にちゃんと勉強しなきゃと思い始めた子もいるみたいよ。普通なら進路が決まると、遊び呆けて勉強しなくなるのにね。」
とのことだった。