Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「それで、狩野くんはどうだった?」
3年部の澄子の机の横にみのりが立つと、興味深そうに澄子が訊いてくる。
「狩野くん?ああ、92点だった。私文ではダントツよ。彼のお陰で、平均点の底上げがなされてるとは思うけど…。」
それでも、他の子も頑張ってるのも事実だ。
「さすが、狩野くん!みのりさんが手取り足取り教えてるだけあるわね。」
「手取り…!?」
勿論、比喩だとは思うが、みのりは澄子が言ったことにどぎまぎしながら、
「毎週試合もあるのに、それでも個別指導は続けたいって言うんだから、頑張り屋さんよね。」
と、さも感心してるように、遼太郎を褒めた。
「頑張り屋さんって言うより……」
澄子はそう言いかけて、みのりの顔を見た。
――みのりさんのこと、好きだからじゃないの?
そう思ったが、口には出さなかった。
澄子の含みのある表情が気になったみのりは、「ん?」と見返す。
「…うん、彼はまだ部活もしてるのに、そうやって入試に関係ない勉強も頑張ってるから、他の生徒も触発されてるのかもね。」
澄子のその言葉に、みのりは安心したかのように、嬉しそうに微笑んだ。