Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 その時、突然背後からみのりの両肩に、ポンと手が置かれた。当然、みのりは飛び上がらんばかりに驚いて振り返った。

 そこには、にっこりと笑うラグビー部顧問の江口がいた。


 元ラガーマンの江口は、どう見てもフォワード体形で、背はそうでもないが横幅はかなりある。
 以前は教職員のクラブチームに入っていたらしいが、それも引退し、以来中年太りと闘っているらしい。


「江口先生!もう、びっくりしたー!!」


と、みのりが抗議しているが、当の江口の耳には入っていない。


「仲松さん、いつも試合の応援に来てくれてありがとう!予選が終わったら、お礼に一緒に飯でも食いに行こう!」


と、3年部の先生たちがいる中で堂々と食事に誘われた。


 「うっ…!」と、みのりが言葉を詰まらせる。

 こんな大勢いる中で誘われているのだから、多分深い意味はないらしい…。でも、だからこそ無下には断れない。


「…わ、ありがとうございます。じゃ、澄ちゃんも一緒に、ご馳走して下さい。」


 みのりが作り笑いをしてそう言うと、江口と澄子と、同時に目が点になった。


「あ…、ああ、いいよ。じゃあ、一緒に行こう。」


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