Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
16 一大事!
さすがに寒さを感じるようになった十一月の土曜日の朝早く、試合に向かうため、ラグビー部員たちは第2グラウンドに集まった。
点呼を取って練習道具をバスに積み込み、自分たちもバスに乗り込む時、遼太郎と二俣のスマホの着信音が同時に鳴った。
遼太郎は席に座って、スマホを開いてみる。すると、みのりからのメールが来ていた。
『 おはよう。 今日も絶好の試合日和だね!体調はバッチリですか?実は今、連絡があって、日本史の浜田先生が体調不良のため、今日の土曜学習の代講を急きょ行うことになってしまいました。土曜学習が終わるころには試合も終わってしまうので、今日の試合の応援には行けそうにありません。とっても残念なのですが、遠く離れてても心を飛ばして応援しているので、頑張って下さい。次の決勝戦には、必ず応援に行きます。 仲松 』
メールを読んだすぐ後で、前方に座っていた二俣が振り返って、遼太郎へ目配せした。どうやら同じ内容のメールが、二俣にも送られて来たらしい。
みのりが応援に来てくれないという現実は、思ったよりも遼太郎に衝撃を与えていた。
完璧に造り上げられた防壁が、波に洗われて足元から瓦解するかのような感覚に襲われる。