Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
いつも自信満々な二俣は、本能で動いてラグビーをするようなところがあり、それでいてとても優秀な選手だ。芳野高校の大躍進も、彼のおかげに負うところが多い。
それと、遼太郎――。
やはり遼太郎が成長した分、芳野高校はチームとしてまとまり、個々の選手がその特性を活かして強くなったように、みのりは感じていた。
芳野高校の試合開始時間になるまでに、みのりは幾度か携帯電話を開いてみたが、その遼太郎からのメールの返事は来なかった。
きっと試合に向けて意識のすべてを傾注しているから、メールなんて打っていられないにちがいない。
ふとした毎に、みのりはまた、新聞のコピーを届けに行った時の遼太郎を思い出す。
みのりが転んだ時、真っ先に駆けつけてくれたということは、練習しながらも気にかけてくれていたから――。まさしくそれは、練習の邪魔になっていたわけだけど、あの時かいがいしく世話を焼いてくれた遼太郎の優しさが忘れられない。
もちろん、生徒に迷惑をかけている情けなさは感じる。しかし、遼太郎が傍にいるときの安心感はたとえようもないもので、それはみのりの心をじわじわと侵した。