Rhapsody in Love 〜約束の場所〜


 試合が終わってもすぐにはメールを打てないのは分かっているが、確認せずにはいられなかった。職員室に戻って、急いで携帯電話を開いて見ると、メールが1件来ている。


『 勝ちました。』


 みのりの鼓動が、ドキン!と一つ大きく打った。一言だけの短いメールは、遼太郎からのものだった。

 きっと試合が終わってミーティングなどをする合間の一瞬を盗んで、すばやく送ってくれたのだろう。


 みのりは、絶対に負けたりしない…と言い続けてきたにも関わらず、試合を実際目で見て確かめられていないので、にわかに信じられなかった。

 「本当に?」と遼太郎に問い直したい感覚もあったが、メールの文面をもう一度確認してみる。
 送られてきた時間も、試合が終わってすぐの時刻だ。



――勝ったんだ…。



 どっと、みのりの中に安堵感が押し寄せてきた。
 その後に、じわじわと歓喜に満たされる。あまりの感動の大きさに、携帯電話を握る手がブルブルと震えた。それをギュッと抑え込むように、胸に握りしめて、みのりは職員室のベランダへと出た。


 心を満たした歓喜を落ち着かせるのに、胸の拳の上に顎を載せて、目を閉じる。

 ようやく喜びの鼓動が収まった後は、しばらく晴れ渡った空を眺めた。


――本当に、決勝戦まで来たね。


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