Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 月曜日の朝、遼太郎はいつものように渡り廊下でみのりのことを待っていた。

 全県模試が終わったので、申し合わせていた通り、今は推薦入試の面接指導を受けている。進路指導室で調べてきた質問の内容に対して、自分がどう答えるか考えてきたものを、みのりに添削してもらうのだ。


 自分の回答を見直していると、職員室のドアを閉める音の後、軽い足音が聞こえてきた。すぐにみのりのものと判別できる遼太郎は、顔を上げた。


「おはよう。さすがに朝のここは寒くなったね。」


 みのりが笑顔で声をかけると、


「おはようございます。」


遼太郎も軽く頭を下げた。


「土曜日は急に応援に行けなくなっちゃって、ごめんね。でも、勝ったからホッとしたわ。22対14だったらしいけど、楽勝だったのかな?」


 遼太郎は、自分は「勝った」という短いメールしか送っていないのに、みのりがスコアを知っていたので、二俣がメールをしたのかと想像を巡らせた。


「いや…、楽勝とは違います。それどころか……。」


 遼太郎は苦い顔で言葉を途切れさせた。


< 406 / 743 >

この作品をシェア

pagetop