Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
月曜日の朝、遼太郎はいつものように渡り廊下でみのりのことを待っていた。
全県模試が終わったので、申し合わせていた通り、今は推薦入試の面接指導を受けている。進路指導室で調べてきた質問の内容に対して、自分がどう答えるか考えてきたものを、みのりに添削してもらうのだ。
自分の回答を見直していると、職員室のドアを閉める音の後、軽い足音が聞こえてきた。すぐにみのりのものと判別できる遼太郎は、顔を上げた。
「おはよう。さすがに朝のここは寒くなったね。」
みのりが笑顔で声をかけると、
「おはようございます。」
遼太郎も軽く頭を下げた。
「土曜日は急に応援に行けなくなっちゃって、ごめんね。でも、勝ったからホッとしたわ。22対14だったらしいけど、楽勝だったのかな?」
遼太郎は、自分は「勝った」という短いメールしか送っていないのに、みのりがスコアを知っていたので、二俣がメールをしたのかと想像を巡らせた。
「いや…、楽勝とは違います。それどころか……。」
遼太郎は苦い顔で言葉を途切れさせた。