Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 8番の背番号、ナンバーエイトはチームのエースだということは、みのりでも知っていた。ナンバーエイトの二俣は味方の後ろに頭を付けて、力強く押し始める。


 遼太郎も二俣も、授業中とは全く違う雰囲気に、みのりはただただ驚いていた。
 ラグビーは身体と身体がぶつかり合う激しいスポーツだけど、今日のこの雨はその激しさに拍車をかけていた。高校生の試合とはいえ、間近で見るその迫力に、みのりは圧倒された。


 ボールは相手チームの支配となり、攻防は一進一退だった。雨に濡れ、泥にまみれているせいか、どちらも動きに精彩を欠き、なかなかトライが決められない。

 時間はあと5分を切っている。選手たちの焦りに呼応して、みのりの動悸も激しくなった。


 相手チームのウイングがボールを持つと、ディフェンスをかわして突進している。トライをされると9点差になり、逆転をするのは絶望的だ。


――誰か、誰か……!あの子を止めて!!


 青のジャージが必死で追い駆けるが、なかなかタックルできない。二俣がタックルに挑んだ時、ちょうど観客席の前辺りに来たので、みのりは思わず立ち上がった。




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