Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 翌日筝曲部の新人大会は、電車での向かうことになっているので、芳野駅での集合となった。

 大人数ならば、貸し切りバスを使うこともあるが、2年生4人、1年生3人の少人数の移動なので、電車を使わざるを得ない。
 6月の大会の時のように、琴は楽器屋さんに運んでもらっており、外部の講師と生徒と1時間余りの列車旅だ。列車を降りた後は、会場までは路線バスを使う。


 集合した生徒の中で、みのりは吉長の顔色を真っ先に確認した。前々から気にかかっていた生徒だ。
 元来気立てのよい女の子で、奥ゆかしい子の多い筝曲部の中では珍しく、明るい雰囲気を作るムードメーカーなのに、このところその快活さが曇っている。



「どう?調子は?」


 幾度となく、みのりはそう言って吉長が切り出してくれるきっかけを作ってはいるのだが、いつも「バッチリです!」と応えるばかりで、却って心配は深まるばかりだった。


 列車の中で揺られている間も、まだ朝早い時間にも関わらず、吉長は青い顔をして眠っていた。


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