Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 3年生が引退した後、この2年生と1年生は、少人数ながらも頑張って練習を続けていた。
 欲を言えば、もうちょっと部員が増えてくれるといいのだけど、部員が少ないのは顧問のみのりが積極的な勧誘を怠っているからかもしれない。

 箏曲部のことは外部講師に任せっきりで、ラグビー部のことばかりに気を取られていたことを、今更ながらにみのりは反省していた。


 会場に着いて、先に到着している楽器屋さんから琴を預かり、所定の場所で調整する。くじ引きが行われ、演奏順が決められる。6月の大会の時と同じ手続きが踏まれ、淡々と大会は進められていった。

 芳野高校の演奏は、100周年記念式典のレセプションで弾いた曲を自由曲にしていたので、こちらは申し分ない出来だった。
 ただ、課題曲の方は、自由曲に比べ今一つと言ったところ。課題曲は他校も同じ曲を弾くので、少しの失敗でも甲乙の差がはっきりしてしまう。

 もう少し人数が多ければ聴きごたえもあっただろうけれど、いかんせん7人では、20人以上の部員を擁する学校に比べて聴き劣りしてしまうのはしょうがなかった。


――やっぱり、頑張って部員の勧誘をしなきゃ…!


 練習場にしているセミナーハウスの和室には、たくさん琴が余っている。みのりは芳野高校の演奏を聴きながら、心に誓っていた。



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