Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 絞り出すように吉長が言ったので、みのりは心配そうに見守っていた部長やその他の部員たちに目配せして、彼女たちをトイレから出した。


 吉長の足元から出血していることに、みのりは気が付いて、吉長を覗き込んだ。


「吉長さん、怪我してるんじゃないわよね?生理になった?」


 二人きりになって、吉長は堰を切ったように泣き出した。みのりの問いかけにも、ただ首を横に振るばかりだ。


「どうしたの?どこか痛い?」


 訳の分からないみのりは、ますます焦りを募らせた。
 この状況は、どう考えても生理どころではない。嫌な予感が、みのりの中を駆け巡る。


 いつも明るい吉長が、涙で顔を濡らしながら、ようやく口を開いた。


「…先生、助けて…。お腹、痛い…。私…、お腹に赤ちゃんが…。」


 それを聞いて、みのりは頭の中が真っ白になった。

 事の重大さを認識するにつれ、体に震えが走る。


「…妊娠してるの?」


 痛みに耐えながら、吉長が無言で頷く。会話している間にも、どんどん顔色が悪くなる。



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