Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「それが最善であれば、そうして下さい…。」
みのりは息を呑みこんで、そう答えた。本来は保護者に確認を取らねばならないのかもしれないが、事態は一刻を争うらしい。
すぐに転院の手続きが取られ、再び救急車で搬送される。移される病院は、ここから100㎞ほど離れた他県の病院で、新生児医療の専門医と設備を備えた総合病院だ。
高速道路を走って、約一時間後、その病院には到着した。
この病院の名前が分かった段階で、みのりは再び教頭へ、転院する旨の連絡を入れる。
すでにこちらに向かっていたクラス担任と教頭は、「ええぇ~!!」と叫びをあげ、踵を返して移動先を変更することになった。と言っても、すでに高速道路に乗っていたので、すぐに行先を変えるのは難しいだろう。
みのりが一人で事の対処に当たらねばならない時間が、もっと長くなってしまった。
吉長には無事でいてほしい。出来れば赤ちゃんも。
手術が終わるのを、みのりはただ祈りながら待ち続けた。
胎盤剥離になれば、胎児に必要な酸素や栄養が届けられなくなるので、危険な状態になるのだろう。だから、一刻も早く帝王切開して赤ちゃんを出してあげなければならない。