Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
慰めになるとは思えなかったが、吉長の両親にはそう言って、吉長が頑張り屋でとてもいい子だということを伝えたかった。
命の危険は別として、手術自体はそう難しいものではないらしく、それからそう時間を待たずに手術は終わった。
吉長もお腹の赤ちゃんも、無事だった。
それを知った時、みのりは一気に脱力するかと自分でも思っていたが、まだ神経が高ぶっている感じがあり、体の芯の方に緊張が残ったままだった。
今後のことについて、これから教頭とクラス担任と両親とで話し合われることになり、ずっと吉長に付き添っていたみのりは、これで帰宅してもいいことになった。
と言っても、みのりは救急車でここまで来ていたので、返るためには鉄道を使うしかない。まだ、夜の7時過ぎだったので、教頭とクラス担任を待つことなく、先に帰らせてもらうことにした。
病院からタクシーに乗り込み駅へと向かうと、ちょうど芳野方面への列車が出るところで、なんとかそれに乗ることができた。これから1時間弱で、芳野駅には到着する。
みのりは座席に座り、ふっと息を吐いた。息は吐いたが、まだ心は硬く、気持ちも強張ったままだった。