Rhapsody in Love 〜約束の場所〜


「そう!走って、走って、走ってーっ!!」


 みのりは叫びながら、自分も走っているかのように、その場で地団駄を踏む。センターは自分で行くかと思いきや、ディフェンスに阻まれる前に、ラインを作って走っていた遼太郎にパスをした。


「……!狩野くん!!狩野くん!!頑張って!頑張って!!」


 遼太郎はステップを踏んでタックルを一つかわし、二人目のタックルに捕まり、倒れながらもゴールラインを越えボールを押し込み、トライを決めた。


「やったーーーっ!!」


 歓声が上がると同時に、みのりの歓喜も極まった。これで21対22となり、逆転した。その後、背番号15番の選手がコンバージョンゴールを難なく決めて、さらに2点を加え、そこでノーサイドとなった。


「はぁ……、勝った……。」


 安堵したみのりがへたり込むと、隣にいた観客のおじさんが、共感した表情で笑いかけてくれた。みのりも苦笑いをして会釈をしたが、胸の鼓動はまだ治まらなかった。

 10mラインに沿って両チームが並び、互いに向き合って挨拶してから、それぞれに敵陣の観客席の前で整列し、頭を下げる。

 相手チームは突然降りかかった敗北に、呆然とした様子だった。でも、みのりはこの雨の中一時間以上も頑張ったことを、精一杯の拍手で讃えた。





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