Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
次に、目の前に整列したのは芳野高校の選手たち。
足の先はもちろん、頭のてっぺんから顔、肩から指先、とにかく全身が泥だらけだったけれど、みのりはそれを少しも汚いとは思わなかった。
「整列!礼!」
と、二俣の号令に合わせて、選手たちは頭を下げた。先ほどよりも、いっそう大きな拍手がおこる。
ほっとしたような笑顔を見せる選手たちに、みのりは誇らしさと頼もしさを感じていた。雨なんかものともせず全力で戦う姿は、男らしくカッコイイとさえ思えてしまう。
そして何より、最後まで諦めなかったひたむきさに感動していて、鼓動の激しさは治まるところではなかった。
試合が終わって、観客たちは席を立ってぞろぞろと帰り始めたが、みのりはしばらくラグビー部員たちを眺めていた。
あの泥まみれのままでは、バスには乗れないだろう。どこで体をきれいにするのだろう…?そんなことが頭をよぎった。
その時ふと、ヘッドキャップを脱ぎ、頭を振って泥を払った遼太郎と目があった。
みのりを見つけると、遼太郎はニッコリと嬉しそうに、泥だらけの顔をほころばせる。