Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「あの…、明日。頑張ってね…。」


 先ほどの衛藤にかけたのと同じ言葉だったが、耳に響く声色も込められている意味の重さも、全く違っていた。


 お互いの視線が絡んで、


「はい…!」


と、遼太郎はゆっくりと頷く。

 その決意を秘めた闘志ある表情に、みのりの心は呼応し、その頼もしさに笑顔がこぼれた。


 みのりが自分だけを見て花が咲くように笑ってくれたので、遼太郎の心は安堵感で満たされた。
 今朝、自分が言った言葉を、みのりが受け入れてくれているのだと確信した。それでなければ、こんなふうに可愛らしい笑顔を見せてくれるはずがない。


 みのりが足早に階段を駆け下りていった後も、遼太郎はしばらくその場で、みのりの笑顔を噛みしめていた。
 目を閉じ、その笑顔を心に貯めると、明日の試合で遼太郎が躍動するエネルギーとなった。




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