Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「お疲れ様!!」
みのりは、両手を口の横にあてて、一言大声で労った。
二俣も遼太郎も、屈託のない笑顔で応えたが、その直後、
「集合!」
顧問の江口のただならない口調に身を縮こめた。
選手たちは、雨の当たらない観客席の方へ移って、着替えを始める。
着替える時に裸になるのを、まじまじと眺めるわけにもいかないので、みのりも退散することにした。
今日の試合の相手は、そう強い高校ではない。その相手に、辛うじて勝てるようでは、江口は〝よし〟とはしないだろう。
着替えた後、江口から激しい叱咤の雷が落とされることは、火を見るよりも明らかだった。
再び高速道路を1時間ドライブした後、アパートに到着したみのりが、車から降りて携帯電話を確認すると、新着メールが2件あった。アパートの階段を昇りながら、それらを開いて見る。
1件めは二俣から。
『二俣弘明です!今日は応援ありがとうございました。お陰で勝てました!江口ちゃんには怒られたけど…』
みのりはクスッと笑いをもらし、返事を打った。
『お疲れ様です。ひやひやしたけど、勝てて良かったね。それにしても二俣くんは、キャプテンでナンバー8なんだね。びっくり! 見直しました。 仲松みのり』