Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「お疲れ様!!」


 みのりは、両手を口の横にあてて、一言大声で労った。

 二俣も遼太郎も、屈託のない笑顔で応えたが、その直後、


「集合!」


顧問の江口のただならない口調に身を縮こめた。


 選手たちは、雨の当たらない観客席の方へ移って、着替えを始める。
 着替える時に裸になるのを、まじまじと眺めるわけにもいかないので、みのりも退散することにした。


 今日の試合の相手は、そう強い高校ではない。その相手に、辛うじて勝てるようでは、江口は〝よし〟とはしないだろう。

 着替えた後、江口から激しい叱咤の雷が落とされることは、火を見るよりも明らかだった。



 再び高速道路を1時間ドライブした後、アパートに到着したみのりが、車から降りて携帯電話を確認すると、新着メールが2件あった。アパートの階段を昇りながら、それらを開いて見る。

 1件めは二俣から。


『二俣弘明です!今日は応援ありがとうございました。お陰で勝てました!江口ちゃんには怒られたけど…』


 みのりはクスッと笑いをもらし、返事を打った。


『お疲れ様です。ひやひやしたけど、勝てて良かったね。それにしても二俣くんは、キャプテンでナンバー8なんだね。びっくり! 見直しました。 仲松みのり』


< 46 / 743 >

この作品をシェア

pagetop