Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
一回り大きいどころの話ではない。都留山の選手は皆、二俣並みの体格で、都留山のバックスの選手でも、芳野のフォワードよりも大きかった。
以前この予選大会のパンフレットを見た時に、そのことには気づいていたが、実際目にしてみて、現実を突き付けられた気がした。
真っ黒なジャージに真っ黒なパンツの都留山高校は、まるでニュージーランドのオールブラックスみたいな威容だ。こんな選手たち相手に、遼太郎が激しくぶつかっていくのかと思うと、みのりはめまいがしそうだった。
定刻通りにキックオフされ、試合が始まった。
みのりの握った拳に、力が入る。ボールの行方を追って頭を右に左に揺らし、息を呑んで芳野の選手たち、特に遼太郎の動きを見守るしかできなくなった。
隣にいる澄子は、ボールを持った生徒の名前を叫んでは、盛んに声援を送っている。
どちらかというと普段は、澄子が黙っていてみのりの方が賑やかなのだが、みのりは先ほど大声で選手たちを激励したにもかかわらず、緊張で声も出なかった。
予想通り、試合は芳野高校に苦戦を強いた。それは体格の差が原因なのか、各選手の能力の差が問題なのかは判らないが、これまでの試合とは内容が全く違っていた。
試合らしい試合をさせてもらえない…と言った感じだ。始まった途端防戦一方で、相手にトライを決められないのが不思議なくらいだ。