Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
――おい、吉竹。先生の言う、その「やる気」っていうモチベーションを持ち続けるのが、大変なんだぞ。
それこそ、みのりに恋でもしなければ、あの厳しい個別指導を数か月も受けるなんて、難しいかもしれない。
思い出してみれば、遼太郎がみのりへの想いに気が付く前、個別指導を始めたころから、みのりを恋い慕う気持ちがあったからこそ、あの厳しさを乗り越えて、部活と両立して続けられたのかもしれなかった。
その後みのりは、藩札の話、明治に入ってからの新貨条例などの話をして、この日の授業は終わった。
次の日の朝、面接の個別指導をしてくれているときのみのりも、やはり遼太郎の違和感をかきたてた。
いつもの渡り廊下ではなく、かつてみのりが遼太郎に失恋を告白した特別教室を使って、個別指導は行われた。
教室の机を寄せて、面接の状況に準えて一つだけ置かれた椅子に腰かけ、面接の本番さながらに質問される。遼太郎がそれに返答すると、みのりは真剣な表情で聞き、一つ一つに意見を言ってくれてはいたが、以前のみのりとは何かが違っていた。