Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
何が言いたいのか、漠然として自分でもよく分からなかったが、何とかそうまとめて、校長の質問に回答した。
校長はただ黙って頷いて、続けた。
「特性を活かそうというのは、今年に限ったことではないですよね。でもなかなか出来ることではない。なぜ今年はそれが出来たのでしょう。」
追い討ちをかける問いに、遼太郎は息を呑んで、再び体を硬直させた。だが今度は、思考は目眩く活動していた。
大腿の上の拳を握り直して、口を開く。
「……今年は我が校から国体選抜チームに2人ほど選ばれていることからも分かるように、去年と比べて個々の選手の能力が高いということも理由だと考えます。加えて、私はスタンドオフというチームの司令塔の役割を果たすポジションなのですが、チームが強くなるためには私がしっかりしなければならないと思い、いろいろと練習方法などを研究しました。その過程の中で、個々の選手の長所をどう活かすか、ということも常に考えるようになりました。司令塔である私が、選手それぞれを理解できていたということが大きいと思います。その甲斐あってか、練習試合を重ね、花園予選の試合をしていく間も、チームがどんどんまとまり強くなっていけました。」