Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
かつて二俣から『最近変わった』と指摘されたこと、それに対してみのりの勉強法のおかげだと答えたことを、遼太郎は思い出しながら、校長の問いに答えた。
考えながらの回答だったので、みのりに指導されていた『快活に、語尾まではっきりと』ということが実行できなかったと、遼太郎の中に失意が渦巻く。
だが、校長は目を細めて、遼太郎の返答に対して微笑んだ。
「意地の悪い質問に、よく回答できましたね。それだけ機転が利けば、本番でも心配ありませんよ。考察も良くできています。」
校長に優しい言葉をかけられて、
――…やっぱり、模擬面接だった…。
と、遼太郎は思った。
「ありがとうございます。」
そして、恐縮して小さく会釈をした。
「それでは、高校生活で部活を続けてきたわけですが、そのことで良かったと思うことは何ですか?」
これは、事前に想定していた問いだったので、遼太郎の気持ちも再び落ち着いてきた。
その後、校長による模擬面接は20分ほどしてから終わった。
それにしても、なぜ自分だけ校長の模擬面接を受けることになったのだろう…。
遼太郎の中にその疑問が浮かび上がってくる。