Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
――ここじゃ、ちょっと人目がありすぎたかな…。
こんなところで、私服の自分がみのりと二人でいるところを見られたら、あまり良くないだろうか…。
そんなことに考えを巡らせながら、遼太郎はコンビニで雑誌の立ち読みすることもなく、ただひたすらみのりを待った。
女子生徒たちが自転車に乗ってコンビニを後にし、遼太郎がホッとしたところで、見覚えのある車がコンビニの駐車場に滑りこんできた。コンビニから漏れる明かりに照らされて、みのりの可憐な顔が浮かび上がっている。
車から降りてきたみのりは、遼太郎の姿を探して、コンビニの中を覗き込む。それから、頭をあちこちへと巡らせ、何度もこちらを向いているのに、遼太郎には気が付かない。
遼太郎が声をかけるべきか…と迷ったところで、みのりは遼太郎に気が付いて、視線を合わせニコリと微笑んでくれた。
いつもの雰囲気と違うダークグレーのスーツに黒いパンプスという姿のみのりに、遼太郎は目を瞬かせる。
「狩野くん、私服だったから一瞬分からなかったー。私服姿を見るのって、初めてね。」
コツコツとパンプスを鳴らし、そう言いながら、みのりが歩み寄ってきた。