Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
普通すぎるブルーのジーパンにカーキ色のモッズコート。この自分の姿と、スーツ姿のみのり。そのあまりの不釣り合いに、却って制服を着てきたらよかったかも…と、遼太郎は思った。
「そういう格好してると、大人っぽく見えるね。もう大学生みたい。」
真面目なスーツに似つかわしくない屈託のないみのりの笑顔に、一応褒められているのだと受け取って、遼太郎ははにかんで肩をすくめた。
「先生もいつもと感じが違いますね。」
遼太郎にそう指摘され、みのりも肩をすくめる。
「そうでしょう?こんな堅苦しいスーツ苦手だから、学校じゃ普段あんまり着ないもんね。だけど、研修の時にちゃらちゃらした格好はできないから、週に1度のリクルートスーツよ。」
と、両手を広げてみのりは自分の姿を見下ろした。
そうは言っても、就活でリクルートスーツを着ている野暮ったい大学生とは全く違い、みのりは完璧にそれを着こなしていた。
細身の体にピタッと合っているスーツは、地味で無味乾燥であるはずなのに、みのりのスタイルの良さ、特に胸や腰の女らしい曲線を際立たせていて、却って色気さえ感じさせる。
遼太郎は言葉を返せずに、ごくりと唾を呑み込んだ。
遼太郎の反応がいま一つなので、自分がつまらないことを言っているのだろうと、みのりは口をつぐんだ。