Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 もう少しこうやって、みのりと一緒にいたかった。


「…あの、先生。」


と、遼太郎が言葉をかけると、みのりは目を見張ってそれに応えた。
 でも、何かを言おうと思ってかけた言葉ではない。ただ、みのりを引き留めたいだけだ。

 少し沈黙が過る間、みのりは優しげな眼で遼太郎を見つめ、何も言わず待ってくれていた。


「…今日、校長先生に、模擬面接をして頂きました。」


 やっとのことでその話題を検索して、遼太郎はそれを口にする。みのりもそれを聞いて、にっこりと嬉しそうに微笑んだ。


「どうだった?校長先生との模擬面接。」

「普段、校長先生とは話したこともなかったから、とても緊張したけど、でも、本番と同じような感じを経験できてよかったです。」


 遼太郎の反応に、満足そうにみのりは頷いた。

「校長先生、なんて講評してくれた?」

「想定してなかった質問されたりしたけど、よく考察してよく答えられていると言ってくださいました。」

「そう、よかったね。」


 笑顔のまま、みのりは頷きを繰り返す。


「校長先生から、仲松先生に俺の模擬面接を頼まれたって、聞きました。」


 みのりの笑顔が固まって、瞬きが起こった。そして、ため息をつく。


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