Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
20 ご褒美の賭け
1年5組の担任である古庄が、急用で外出してしまったので、副担のみのりが急遽代わりに終礼へ行くことになった。
「先生、質問!」
終礼の後、今週末からある後期の中間考査のことで、教室に足止めされた。
この1年5組は、考査の後に実施する研究授業をするクラスに指定していたので、丁寧な指導を心掛けていたし、考査前なので、みんな少しでもみのりから情報を引き出そうと、もう必死だった。
一人の質問を受けていると、他の生徒もやってくる。終礼の終わった他のクラスの子もやってくる。矢継ぎ早に質問を受けていたら、職員室に戻るのがすっかり遅くなってしまった。
考査問題もまだ作り終わっておらず、研究授業の準備もしなければならない。仕事が山積しているみのりが、足早に職員室へと戻っている途中、
「みのりちゃん!」
と、渡り廊下で二俣に声をかけられた。
当然のように、遼太郎も一緒にいる。そして、珍しく衛藤も一緒だ。
遼太郎は無事に推薦入試を終えて戻ってきたらしく、月曜日の授業の時に元気な顔を確認できていた。
授業以外の場で遼太郎に会うのは、あのコンビニ以来だ。
みのりは些か緊張したが、今日は二俣と衛藤が一緒なので、少し気を抜いて構えることなく遼太郎と対面することができた。