Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「ラグビー部3人組が何の用?部活引退しちゃって、気が抜けてるんでしょう。」
みのりは足を止めて、冗談めかして声をかけた。
「そうなんだよ、みのりちゃん。部活がないと生活の一部が抜け落ちちゃってるみたいでさぁ。」
二俣もみのりの言葉に合わせて答えると、みのりは口角を上げてニヤリと笑った。
「でも、もうすぐ高校生活最後の考査なんだから、勉強に専念すればいいじゃないの。」
「おっ…!遼ちゃん、さすが。今、みのりちゃん、さっき遼ちゃんが予想した通りのこと言ったぜ。」
そう言われて、みのりは目を丸くして遼太郎を見遣った。
遼太郎は無言で肩をすくめる。やはり二俣と衛藤がいてくれるおかげで、遼太郎の方も心なしかぎこちなくない。
「それでさー、みのりちゃん。考査の後でもいいからさー、何かご褒美でもくれたら、勉強に専念できそうなんだけどなー…。」
渡り廊下の長机に腰かけていた二俣が、上目づかいにみのりを覗き込む。
「な、なんで、ご褒美なのよ…?」
みのりは嫌な予感がしたらしく、あからさまに身を引いた。
「だって、俺たち、花園予選あんなに頑張ったんだぜー!焼肉くらい、食わせてくれてもいいんじゃないかと思うんだよなー。」
「はあ!?焼肉ぅ?」
突拍子もない二俣の提案に、みのりはあいた口が塞がらなかった。