Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
そんな3人の緊張が伝わって、みのりも些か緊張した感覚で採点を始めた。
みのりを檻に入れているように、3人はみのりの背を取り囲んで事の成り行きを見守った。その光景はとても異様で、遠くからでも職員室の誰の目にも留まった。
衛藤の答案とは思えないくらい、これまでになく丸の数は多い。多いけれども、斜線を引かれる解答、空白の解答欄もあって、80点を超えているかどうかは微妙なところだった。
計算機で集計が始まると、緊張が高まり妙な空気がそこを取り巻いた。みのり自身も、こんなに緊迫した採点は初めてかもしれない。
計算機を打つみのりの手が止まり、その点数を書きとめることも出来なかった。
78点――。
3人の目も計算機の表示にくぎ付けになる。
その瞬間、二俣の絶叫が職員室に響き渡った。
「あああ~〜〜っ…!!エトちゃん〜〜、何でだよぉぉ〜~!!!」
二俣の悲嘆にくれる叫びに、今度はさすがにみのりも跳ね上がって席を立ち、3人の背中を押して職員室から追い立てた。
廊下に出ると、二俣はがっくりと肩を落として、サッシの窓枠に手をついた。
感情に裏表のない二俣は、悲しむときもダイナミックだ。その落ち込みようが、衛藤の罪悪感をさらに駆り立ててしまうということにまで、二俣は気が回らない。