Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
ラグビー部3人組がみのりに 会釈をして教室へ戻ろうとしたところ、
「ああ、狩野くん。」
と、みのりが呼び止めた。
反射的に遼太郎が振り返って立ち止まる。それを受けて、 衛藤も遼太郎を待つために立ち止まったけれど、二俣にせっつかれて階段の方へと連れて行かれた。
「推薦入試、合格したみたいね。おめでとう。」
みのりの言葉に、遼太郎はハッとする。
合格の通知はすでに受け取っていたのに、一番肝心のみのりへ報告していないことに気が付いた。
この週末、日本史の考査のことで頭がいっぱいだったし、そもそも考査中で授業もなく、みのりに会うこともなかったから。
「そうだった…。先生に報告しなきゃいけなかったのに…。すみません。」
「ううん。月曜日の朝、澄ちゃんが真っ先に教えてくれたわ。」
澄子は担任という立場がら、進路指導室を通して合格を知ったのだろう。
申し訳なさそうしている遼太郎に、みのりはさらに優しく言葉をかけた。
「これで、4月から晴れて東京で大学生だね。」
「ありがとうございます。先生のおかげです。」
恐縮してありきたりな礼を述べる遼太郎を見て、みのりは小さく笑った。