Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
21 楽しいランチ
焼肉を食べに行く日は、思いのほか早く訪れ、その週の土曜日のお昼ということになった。
思い立ったら待ちきれない性分の二俣が、みのりをせっついたせいだ。
その日も午後からラグビー部の練習があったけれども、そこは引退した自由の身。用があるからと、気軽に休むことはできる。
午前11時に焼肉屋の駐車場で待ち合わせということだったので、少し前に遼太郎が自転車で向かうと、すでに二俣と衛藤は到着していて、拾ったボールで二人してキャッチボールをしていた。
「みのりちゃん、まだ来てないぜ。」
ボールを投げながら二俣がそう言うそばから、一台の車が駐車場へ入ってきた。
みのりの車ではないので、遼太郎は別に気にも留めなかったのだが、助手席からみのりが降りてきた途端、その車を運転している人物が気になって息が止まった。
「君たち!あんまりみのりさんを困らせるんじゃないわよ!」
運転席の窓を開けて、澄子が叫ぶ。
「おお!山崎先生!!ちわーっす!」
振りかぶった動作を中断して、二俣も澄子を見て叫んだ。
衛藤が頭を下げるのと同じように、遼太郎も安堵で息を吐きながら頭を下げた。
「ありがとう。澄ちゃん。」
みのりがそう言って声をかけて手を振ると、澄子も手を上げて帰って行った。