Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「…お店、どうして潰れたりしないのかしら?」
店員から顔を逸らし、みのりはラグビー部3人組へそっと囁いた。
すると、とうとう堪えきれずに二俣が笑い出す。
遼太郎もかつて机に突っ伏して笑ったように、噛み殺せずに笑いが歯の間からこぼれ出した。衛藤も珍しく声を上げて笑っている。
決まりの悪くなったみのりは、咳払いして店員へと向き直った。
「わかりました。料金は決められていて、いくら食べても追加料金はないということですよね?」
「アルコールは別料金になりますが、…飲まれませんよね?」
と、店員が確認する。
「もちろん。それじゃ、一人2980円のコースにしてください。」
「えっ!?」
ラグビー部3人組が、信じられないように声をそろえた。
「先生。一番安いコースで構いません。」
「そうだよ。俺、そこまで要求してないぜ。」
遼太郎と二俣が焦ったように、言葉を添えた。
「大丈夫。こんなシステムだって知らなかったから、もっと高くなるって覚悟してたし。」
みのりがそうにっこり笑うと、ラグビー部3人組は今更ながらに恐縮していた。
「それでは、2980円のコースですね。陳列してある食材は、どれでもご自由にお召し上がりになれます。このオレンジ色のバッチをして、ご自分でお取りください。」