Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「今、マルつけが終わったから、これから点数を出すところ。地理はどう?」
みのりはコーヒーを飲みながら、振り返って答えた。
「うーん、まあ。こんなもんじゃないかなー。私文は推薦狙いがほとんどだから、模試の点数は伸びないだよなぁ。」
古庄の言うことは的を得ていた。
私立文系の生徒たちの約半数は、指定校推薦で進路が決まってしまう。この推薦の形式は、大学の方が高校に優先的に入学させてくれる人数を知らせてくれ、これを受けて、高校の方は学校内で適当な生徒を選考する。
これに選ばれた生徒は、その大学への進学はほぼ決定する。
あとの残り半分の生徒たちも、ほとんど普通の推薦入試で決まってしまうので、本試験に臨むのはほんの少数ということになる。
なので、模試に対するモチベーションが、センター試験を受験しなければならない生徒に比べて、低くならざるを得ない。
「さて、私も点数を出してみますか。」
みのりは肩をすくめて、ため息を吐き、机に向かった。
100点満点で、30点代、40点代の子がザラザラ出てくる。ちょっといいかな、くらいが60点代くらい。中には、一桁の子もいた。