Rhapsody in Love 〜約束の場所〜


 みのりが席に戻った時には、すでに焼き網は肉で埋め尽くされていた。

 それから怒涛のような3人の食欲を目の当たりにして、みのりはただ茫然と言葉もなくなる。並べる肉を片っ端から、3人の箸先が争うように取り去っていく。


 みのりは自分の箸を置き、両肘をついて面白そうに3人を観察した。
 この旺盛な食欲とラグビーという激しいスポーツが、この3人の強靭な肉体を作り上げたのだと、みのりは改めて感心する。


 旺盛な食べっぷりを見せてくれる遼太郎を、間近にするのは初めてで、それはみのりの心をくすぐった。
 どんどん食べ物が吸い込まれていく口を縁取る遼太郎の唇を見て、体が熱くキュッと固くなった。


 視線を感じた遼太郎が、食べるのをやめ、隣にいるみのりを見た。


「先生!全然食べてないじゃないですか!?」

「うん。いや、君たちに圧倒されて…。でも大丈夫。2時間あるから後からゆっくり食べるし。」


 みのりは面白そうに笑いながら、そう言った。


「2時間後も、俺らずっと同じだぜ。みのりちゃん。」


 ご飯を掻き込みながら、上目遣いに二俣が言う。


「エトちゃん!それちょっと待った!!」


 遼太郎は今まさに衛藤が拾い上げようとした網の上の肉を2枚かっさらって、みのりの皿へと入れた。


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