Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「私の分は、君たち3人が元を取ってくれてるでしょ?ホント食べ放題で安心したわ。2980円なんて、ロース1人前くらいの値段なんじゃない?その値段で、何でも食べたいだけ食べられるなんて…。」
「……え?」
「ロース1人前…?」
遼太郎と二俣と、二人が同時に驚愕した顔を向けた。
「みのりちゃん。普段どんだけ贅沢な焼肉食ってんのかよ。俺らなんて、いつもここで安いコースしか食わせてもらってないんだぜー。」
「そりゃあ、それだけすごいペースで食べるんだから、食べ放題じゃなきゃ破産しちゃうわ。」
「いや、って言うか。もしかしてみのりちゃんの家って、お金持ち?お嬢さんなんじゃないの?」
「そんなんじゃないわよ。普段っていうほど、焼肉なんて食べに行かないし、それにそんなにたくさん食べないから…。」
みのりは逆に焦ったように、弁解している。
遼太郎は二人の会話を聞きながら、やはりみのりの生育環境は自分とはずいぶん違うんだと、改めて思い知った感じがしていた。
「…あっ、おい!エトちゃん。」
二俣と遼太郎が、網から目を離している間にも、衛藤は一人で黙々と食べている。
残る2枚の肉を、一枚は二俣が取り、もう一枚は遼太郎が取って再びみのりの皿へと入れた。