Rhapsody in Love 〜約束の場所〜




「私の分は、君たち3人が元を取ってくれてるでしょ?ホント食べ放題で安心したわ。2980円なんて、ロース1人前くらいの値段なんじゃない?その値段で、何でも食べたいだけ食べられるなんて…。」


「……え?」

「ロース1人前…?」


 遼太郎と二俣と、二人が同時に驚愕した顔を向けた。


「みのりちゃん。普段どんだけ贅沢な焼肉食ってんのかよ。俺らなんて、いつもここで安いコースしか食わせてもらってないんだぜー。」

「そりゃあ、それだけすごいペースで食べるんだから、食べ放題じゃなきゃ破産しちゃうわ。」

「いや、って言うか。もしかしてみのりちゃんの家って、お金持ち?お嬢さんなんじゃないの?」

「そんなんじゃないわよ。普段っていうほど、焼肉なんて食べに行かないし、それにそんなにたくさん食べないから…。」


 みのりは逆に焦ったように、弁解している。

 遼太郎は二人の会話を聞きながら、やはりみのりの生育環境は自分とはずいぶん違うんだと、改めて思い知った感じがしていた。


「…あっ、おい!エトちゃん。」


 二俣と遼太郎が、網から目を離している間にも、衛藤は一人で黙々と食べている。

 残る2枚の肉を、一枚は二俣が取り、もう一枚は遼太郎が取って再びみのりの皿へと入れた。


< 552 / 743 >

この作品をシェア

pagetop