Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「狩野くん、私のことはいいから、自分で食べて。はい。」
と、みのりは焼きたての肉を箸でつまんでタレにつけると、遼太郎の口元へ持ち上げた。
遼太郎は反射的に「あーん」と口を開けて、それを迎え入れる。味わう余裕もなく、ゴクリとそれを飲み下すと同時に、遼太郎の顔に血が上った。
向かいにいる二俣も、目を点にして赤面している。
「ご飯おかわりしてきます…。」
赤くなった顔を隠すように、遼太郎はそう言って席を立った。
それから、二俣も衛藤も席を立ち、追加の肉を取りに行った。
真っ先に戻ってきたのは衛藤で、皿に山盛りにしてきたホルモンを、一気に網に投入した網からはもうもうと水蒸気が立ち上る。
「うわ?!」
そこに戻ってきた遼太郎はこの光景を見て、みのりと同様に唖然とした。
「何やってんだよ~。エトちゃん…。先生困ってるだろー。」
遼太郎にそう言われて衛藤は、
「先生も、食べてください…。」
と、恥ずかしそうに言った。
そんな衛藤をみのりはとてもかわいいと思いつつ、
「ごめん。私、ホルモンは苦手なの…。」
そう言って苦笑いするしかなかった。