Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「先生、じゃあ、この下の綿毛布だけでも掛けててください。」


 遼太郎がそう訴えると、みのりは綿毛布を胸元に抱き込むようにした。
 肩は出てしまっているが、辛うじて胸は隠してくれたので、遼太郎はひとまず安心して大きな溜息を吐いた。


 みのりからも、規則的で大きな寝息が聞こえてくる。

 熱に苦しむみのりよりも、自分の呼吸の方がずっと激しいもので、遼太郎は改めて自分の心臓の音の大きさに気が付いた。心臓が口から飛び出してきそうなくらい、激しい鼓動を打っている。

 膝立ちになっていた遼太郎は、ぎこちなく再び胡坐を組んだ。

 こちらを向いているみのりは、先ほどの蒼白さはなくなり、肌がほんのり桜色に色づいている。
 未だ熱が高いせいか、唇がいつもより赤く感じられたが、汗をかいて幾分体温が下がり楽になってきたのだろう、表情も穏やかになってきたようだ。


 遼太郎は気を取り直して、なおもみのりの肌を伝う汗を拭きとった。

 額と首筋と、うなじと。

 体を火照らせて汗をかくみのりは、その胸元を見せずとも、匂い立つようだ。
 キャミソールとブラジャーのストラップがかかるすべやかで細い肩を見て、遼太郎はゴクリと唾を飲み込んだ。


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