Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 震える手を伸ばして、みのりの顔にかかる一筋の髪を、いつもみのりがそうするように耳へと掛けた。耳には小さなダイヤのピアスが光る。

 そのまま遼太郎の指はみのりの頬をそっと撫でた。

 まだ熱はあるようだが、先ほどのような高熱ではない。



「先生のことが、好きです…。」



 もちろん、みのりが眠っているのは分かっている。だが、言わずにはいられなかった。

 自分の気持ちの全てを、表現できる言葉ではなかったけれど、遼太郎は初めて口に出して言葉にしたその一言に、溢れてくる気持ちのすべてを込めた。




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