Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
23 学校の裏サイト
キィ……、バタン……。
ドアの閉まる音で、みのりは目を開けた。
虚ろな意識の中で、鍵をかける音が聞こえる。それから、ドアの郵便受けにポトンと何かが落とされる音が……。
この部屋のドアを開け閉めするのは自分だけのはずなのに …。…一体誰が?
そうぼんやり思ったけれども、不思議とみのりは焦りや恐怖を感じなかった。
その身を満たしていたのは、心地よい安心感。
こんな感覚で包んでくれるのは、そうだ、遼太郎しかいない。
とっさにみのりは起き上がって、部屋の中を見回した。ベッドから立ち上がって、ふらつく足で隣の部屋に来てみても、もう遼太郎の姿はなく、今のドアの音は遼太郎が出ていった時のものだと覚る。
そして、ソファーの前のローテーブルに、小さいメモが置いてあるのに気がついて、手に取った。
『先生が目を覚ますまで居たかったけど、日も暮れそうになってきたので帰ります。鍵は閉めてドアの郵便受けに入れておきます。』
見慣れた遼太郎の筆跡に目を走らせ、帰ってゆく遼太郎の姿を確認するために、窓辺に行こうとした。……ところが、
「あ…!…えぇぇっ!?」
自分があられもない下着姿であることに気がついた。