Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
裏サイトにどんなふうに書かれようと、遼太郎にとってあの時の出来事は、一生忘れられない大切なものだ。あのアパートでの出来事を思い出すたびに、みのりへの愛しさが募っていくのが分かる。
そんなふうに想いは募るのに、みのりとの距離は縮められない。それに加えて、あの裏サイトの書き込みで、思うようにみのりと接することも出来なくなった。
とは言え、今日自分がとったみのりへの態度を思い返してみて、遼太郎は自己嫌悪を感じざるを得なかった。
教室を出ていく時のみのりには、いつもの微笑みがなかった……。みのりは驚きを通り越して、傷ついてしまっているのではないか……。
裏サイトへの書き込みも、二俣と宇佐美の機転で削除されはした。
しかし、たとえ削除されても、あの書き込みを一度でも目にした人間の記憶には残る。これから何か事あるごとに、遼太郎がみのりと親密そうにしていれば、「やっぱり」という目で見られるだろう。
こんな時、普段女子と接していないことがアダとなっていた。
軟派で馴れ馴れしい生徒がみのりと親しげにしていても違和感ないが、遼太郎の人となりをそれなりに知っている人間がそれを見たなら、奇異に感じ、遼太郎の心の内を詮索したくなるだろう。