Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
小さい町の商店街だけれども、クリスマスの時だけは特別になる。公園のようになっている中央分離帯のイルミネーションも年々趣向が凝らされ、カップルの格好のデートスポットになっていた。
信号待ちをしていると、今の遼太郎にとっては忌々しいだけのカップルたちが目に入ってくる。
あんなふうに、みのりとこの通りを歩けたら……。無数の色とりどりの輝く光の中でみのりを見つめられたなら、その時のみのりはどんなにか綺麗だろう……。
そう思わずにはいられない。そういう思いが強くなればなるほど、目の前の幸せそうなカップルは目の毒だった。
ふと行き交うカップルの中に、見慣れた人影が遼太郎の目に留まった。仁王立ちする熊のような男、二俣だ。
手をつなぐなどはしていないが、彼女と寄り添って歩いている。眼光鋭く戦闘的な顔つきをしている二俣だが、彼女といるときの彼は柔和そのものだった。
――あいつ……。だから、今日の部活来なかったんだな。……なんだよ。あいつだって、仲松先生によろめいてるくせに……。
今の遼太郎には、親友でさえも、なかなか祝福できる気分ではなかった。こう思ってしまったのは、二俣が『俺のみのりちゃん』と言っていたことが、遼太郎の中でまだ尾を引いているらしい。