Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
なんだか、こんなネガティブな自分が嫌になって、遼太郎はがっくりと頭を落としながら深い溜息をついた。
信号が青になり、道路を渡っていると、直感的に遼太郎はみのりの存在を捉えた。
自転車を止めて、自分の直感を確かめてみる。
中央分離帯の並木に付けられたイルミネーションのまばゆく暖かい光に照らされて、みのりの姿が浮かび上がっていた。
天使の姿を形どった光の像に、うっとりと見入っているみのりは、幻のようにはかなげで、遼太郎が夢の中でいつも会うのと同じように、とても綺麗だった。
……その姿を見るだけで、遼太郎の心臓は切なく鼓動を速めた。
しかし、みのりと一緒にいる人物の存在を確認して、遼太郎は固まってしまった。
見覚えのある首が太くがっしりしたプロップ(※)体型。……さっきまで一緒に第2グラウンドにいた江口だ。
心臓の鼓動が、直前とは違う意味で大きくなる。
その時、信号が赤に変わりそうになったので、遼太郎は我に返って急いで道路を渡りきった。
そして、車道を挟んで向かいの歩道から、遼太郎は二人の様子を見つめた。
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(※)ラグビーのフォワードのポジションの一つ。スクラムでは前例両端を担当する。