Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



『江口ちゃんも、みのりちゃんに気があるぜ。』


という二俣の言葉が、頭の中に浮かび上がる。


 二俣の観察眼は、的確だったということだろうか。こうやって二人でいるということは、みのりの方も江口を気に入っているのだろうか……。


 江口はみのりがイルミネーションを眺めるのを待っていたが、みのりはそれに気が付いて、二人で並んで歩きだした。

 再び信号が変わると、先ほど遼太郎がいた方へと道路を渡る。そして、通りに面したネオンの看板が出ている店の扉を江口が開くと、みのりの背中を押しながら一緒に中へと入っていった。

 レストランというより、お酒を飲むところといった感じの店だ。当然、高校生の遼太郎は足を踏み入れたこともない。


 大人のみのりとは、住んでいる世界が違う…そう思わざるを得ない。

 どんなにみのりを深く想っていても、自分も「俺の仲松先生」と思っている他の男子生徒と変わりがなく、その生徒というカテゴリーの中からあがいてもあがいても抜け出せない。


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