Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 遼太郎は初めて、みのりを想うことを「辛い」と感じた。

 辛いけれども、みのりを諦めるのは、もっと苦しい思いをしなければならない。自分の人生の中からみのりがいなくなるのは、心臓の半分がなくなるようなものだ。



――やってみてもないのに無理かも…なんて、スポーツマンとは思えない…。


 かつてみのりが、遼太郎に言った言葉だ。


 遼太郎はその言葉を噛みしめた。
 まだ、自分はみのりに対して何も行動を起こしていない。だから、まだ無理と決めるのは早すぎる。

 みのりのことに関しても、みのりの言葉を拠り所として、遼太郎は自分を奮い起こした。そうでもしないと、自転車のペダルはとても重すぎて、到底家に帰りつけそうになかった。





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