Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「ああ、そうか。1組にはそれに、下平がいるんだけど、あいつは世界史選択だったかな?特に、二俣と狩野は仲がいいよな。信頼関係がしっかりできてて、 ゲームの中でもお互いの心を読んで動いてるようなところがあるよ。」


 江口の分析に、みのりも思い当たる気がして、頷きながら微笑んだ。


「二俣はあの通りの体格だし、中学時代すでにサッカーで吉田じゃ有名だったから、目をつけてて、スカウトしたんだけど。」

「中学の時は、サッカーやってたんですか、二俣くんは。高校でもサッカーするって言わなかったんですか?」


 みのりもレタスをフォークで刺しながら、当然の疑問を指摘した。


「それは、スカウトの仕方だよ。『お前の体格や能力はラグビーでこそ生かせる。俺がお前を一流のラガーに育ててやる』とか言って説得したのよ 。それで、その気になってくれた。サッカー部の広津先生は地団駄踏んでたけどな。」


 当時を思い出すように、江口はにんまりと笑いながら自慢げに話す。


「それじゃ、江口先生の言うとおりになりましたね。二俣くん、立派なラガーマンになったから。」


「高校に入ってからも、体重だけじゃなく身長も大きくなったしな。それに、能力も高い。大学に行ってからも、十分活躍できると思うんだけどなぁ…。」


 江口の口調がいかにも残念そうなので、みのりは目を見張った。


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