Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「え…?二俣くん。大学でラグビーしないんですか?彼は中央大学でしたよね?関東の対抗戦やリーグ戦で彼を見られると思ってたのに…。」

「大学じゃしない…と言ってるなぁ~。」


 江口は溜息を吐きながら、ビールをあおった。そして、ウェイターにおかわりのジェスチャーをする。


「大学で他にしたいことがあるのかもしれませんね。」


 みのりがそう慰めるようなことを言ってみたけれども、少し空気が沈み、会話が途切れてしまった。



――狩野くんのことが聞きたい…!!


 こんな時みのりの心に過るのは、やっぱり遼太郎のこと。みのりの知らない1・2年生の時の遼太郎のことが知りたくて、胸がドキドキと高鳴った。

 遼太郎のことをどう切り出そうかと、思いあぐねていたとき、


「……狩野は…、」


と、江口の方から遼太郎のことを持ち出してくれた。


「狩野は、二俣が強引に入部させたんだよ。中学は違うけど、1年の時同じクラスになって仲良くなったみたいで。あいつは、中学の時には陸上部で短距離をやってたらしいけど、細くてヒョロッとしてて…。入部当時は本人もラグビーには向いてないって思ってたみたいだな。」



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