Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 プロテクターを着けているとはいえ、しっかり張った胸や肩、スッと反られた背中、ピッタリしたジャージから伸びた引き締まった腕、ただ走るだけでは作り上げられないラガーマン特有の腰回り。

 記憶の中のラグビーをする遼太郎に出会う度、みのりの胸は少女のようにキュンとときめいた。




「うん、まあ。そういうには、もう少し筋肉で太ってほしいところだけど。あのヒョロッとから、よくあれだけ鍛え上げたと思うね。」


 江口はそう言う間にも、サラダを平らげ、ピザを2、3切れ食べてしまった。


「狩野くんをスタンドオフにしたのは、どうしてですか?ラグビー部の3年生には、ラグビースクール出身の子もいますよね?」


 スタンドオフは、チームの司令塔というその役割ゆえ、ラグビーを熟知していないと務まらないし、センスも要求される。
 高校生のチームでも、スタンドオフをしているのは、ラグビースクールを出ているような経験者がほとんどだと、みのりは聞いたことがあった。


「下平や膳所は、小学生の時からラグビーをしてて、確かに上手いんだが。スタンドにするには、なんて言ったらいいのかなぁ…、全体を見通す目を持ってるというか、うん、やっぱりセンスが必要なんだよ。ラグビーのセンスっていうのは、経験の期間と比例するわけじゃないんだな、これが。」


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